スクラムフェス札幌2020のイベント運営に参加した話

スクラムフェス札幌2020のイベント運営に参加した話

Clock Icon2020.12.19

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CX事業本部の上戸鎖です。
今年11月に初開催されたスクラムフェス札幌2020のイベント運営に参加した体験記を書いてみたいと思います。
このエントリーは 「ScrumFestSapporo2020 Advent Calendar 2020」の19日目のエントリーです。
今回は開催にいたるまでの道のりを、私自身の目線から書いていきたいと思います。

ちなみにスクラムフェス札幌2020にはクラスメソッドもシルバースポンサーとして協賛に加わっています。

2019年1月 - RSGT2019に参加して場の空気感を味わう

私のスクラムフェス札幌との関わりの始まりは、アジャイル札幌代表の根本さん(@nemorine)に誘ってもらってRSGT2019に参加した時が始まりでした。
当時私は札幌でフリーランスエンジニアをしていて、札幌でのイベントにはちょくちょく参加していたんですが、東京でのイベントにはなかなか敷居が高くて参加しにくいと感じていて、東京のイベントに旅費を払ってまで参加することの価値ってどれくらいあるんだろうと、正直二の足を踏んでいました。
でも実際に行ってみるとその体験が圧倒的でした。

普通のイベントと何が違うんだろう

まず、イベントの参加者がみんな前のめりな姿勢が印象的で、アジャイルを実践しながら実際にいろんな現場で直面している問題になんとか対応しようと、そのヒントを探している実践者なんだなと、そんなふうに感じました。
そして、場の作り方がそういう参加者をサポートする形で、自然な議論を促してるんだということを知りました。 廊下に適度な間隔でテーブルが設置されていて、ドリンク片手に気軽に誰とでも会話できる雰囲気作りがされていて、自然とセッションの会話とか自分の現場の話しとかに盛り上がり、気づけば次のセッションの開始時間という状態でタイムテーブルが進んでいく、そんな3日間でした。

よなよなエールを飲みながらスクラムフェス札幌の構想

イベント終了後も恵比寿のYONA YONA BEER WORKSでイベントの興奮を語っていました。
アジャイル札幌でのスクラムフェス札幌の構想を聞いて、運営を一緒にやらないかと誘ってもらったのが、たしかそのあたりだったはず。(飲んでたし2年前なので・・)
こんな熱いイベントが地元の札幌でできたら最高だよなぁといろいろ思いを巡らせながら、RSGTの余韻と高揚感と、芳醇なホップ香りに酔いしれた夜でした。

2019年3月 - 札幌でRSGT2019の報告会

2019年3月1日に札幌で『スクラムギャザリング東京の報告会』を行いました。 21名の方に参加していただき、アジャイル札幌に参加しているメンバーで分担してRSGT2019でのセッション内容を共有しました。
セッションの報告はどれもいい内容なので、短い時間でしたが内容を札幌の参加者にもシェアできて、報告会としてはいいのかもしれないんですが、現場で感じた熱量をどれくらい伝えられたのかなというのが、モヤモヤの残るところでした。 やっぱり報告会だけじゃなく、札幌で大きいスクラムイベントをやってあの熱気を直接味わってもらえる場は必要だよね!ということで、このあたりからアジャイル札幌の運営メンバーとしてスクラムフェス札幌の企画の手伝いをはじめました。

2019年7月 - スクラムフェス札幌企画の開始

スクラムフェスの打ち合わせを本格的に開始したのが2019年の7月頃だったと記憶してます。
心強い助っ人として、RSGT実行委員代表の川口さんとスクラムフェス大阪代表のAkiさんにスクラムフェス札幌の運営にも入っていただきました。
いろいろサポートしていただいたんですが、中でも印象に残ってて運営メンバーでも時々話すのが「無理しない」ことでした。 カンファレンスの雰囲気作りについて - kawaguti's diary

これをやったらいいと思う!そうだね!誰がやる?いないね。じゃあやめとこう。で結構いろんなことを廃案にしてます。やれるならやったらいいし、うまくいったら続けていきたいけど、無理しない。正しい無理などない。

それぞれ仕事や家庭がある中でコミュニティベースでやっていくには、かつイベントを一過性のもので終わらせないためには持続可能なペースでやる必要あるよねと。
開催日についてはそのあたり考えていろいろ検討した結果、少し余裕をもたせて翌年の4月に定めました。
Zoomでつなぎながら、Google Docsで共同編集しながらざっくりしたタイムスケジュールをリアルタイムで作っていくモブな感じが、うおおぉぉー!ってなりました。
ざっくり出来上がったマイルストーンのメモがこんな感じ。

<--------いまここ(8/1)--------->
* 任意団体を作る
* 銀行口座作る
<---- 5ヶ月前 (10月末) にはここにいたい ------>
* Paypal か Stri.pe (チケットの決済手段)
  DoorKeeper と stripeアカウント連携設定
* Wixつくる (ランディングページ) 
  * Wixで管理者メーリングリスト作る
  * WixでConfengineみたいなことができるかどうか? 
* スポンサー受付フォーム
* 請求書 misocaとか → Excelでやります
* 管理者メーリングリストでEventbrite作る
* Wixの内容を整える
* Keynote講演者に採択連絡をする:ねもと
<-------- (11月末には) --------->
* ランディングページを公開 12/1
* 公募のサイトを公開(12月15日目標)
* Keynote講演者 ミーティング日程調整
<-------- 3ヶ月前(1/16)にはここにいたい --------->
* Early Bird チケット販売開始(1月1日)
* 後援コミュニティ連絡
* キャッシュフロー表!
<-------- 2ヶ月前(2/16)にはここにいたい --------->
* Keynote講演者とのミーティング
* 会場に使い方連絡(必要なら)
* スポンサーのチケット払い出し
* 打ち上げ会場予約
<-------- 1ヶ月前(3/16)にはここにいたい --------->
* お弁当手配
* 弁当屋さん相談
* 備品手配
* 電源タップ借りる
* ビデオ機材手配
<-------- 開催日にはここにいたい --------->
* 経費精算
* 会計しめ
<-------- 1ヶ月後(5/16)にはここにいたい --------->

こういう所でさりげなく出してくれるRSGT&スクラムフェス大阪の知見がすごく頼りになります。
全体をざっくりしたPBIにしてみて、ざっくり担当分けを決めたら、うん、このペース進めたらなんとか行けそうじゃん?となる。
粗々でもいいから最初に全体を見られるって大事。
他にも、キャッシュフローを考慮してスポンサーやアーリーバードなど早めに資金をプールする方法や、プロポーザルの採択に用いた判断基準など、いろいろな知見をシェアしていただけたおかげで、へんな落とし穴にハマることなく順調に進むことができました。

2019年12月

公式サイトの公開やConfengineでプロポーザル公募の開始など、いままで準備してきたことをいよいよ世間に公開するということで、このあたりが第一次緊張の瞬間でした。

2020年1月

アーリーバードチケット販売開始

アーリーバードチケットの販売開始を1月1日の0:00に決めました。
除夜の鐘と共に販売開始したら、けっこう勢いで売れちゃうんじゃないかとw(まぁ、結果そこまででななかった)

また、RSGT2020に参加して「トイレの張り紙」でちょっと話題になったりもこの頃。 この時、RSGTに参加していたアジャイル札幌のメンバーはスクラムフェス札幌の宣伝グッズを何も用意していないことに気づき、やっちまった感に襲われていたんですが、やはりそういう追い詰められた時の@nemorineは何かすごい!ピンチをチャンスに変える男w
キャッチーな張り紙で話題を広げていきました。
その甲斐もあってか、順調にアーリーバードチケットが売れていき1月末にはついに完売!感激しました。

トイレで発見。天才か。
ギャザる!! #RSGT2020 pic.twitter.com/POl2HLpKyJ

— Ikuo Suyama (@martin_lover_se) January 9, 2020

RSGTの会場で見た、スクラムフェス札幌2020の告知、かな?これはQRコードの使い方が上手いなーと#RSGT2020 pic.twitter.com/Y4C2IixDxJ

— 烏帽子(えぼし) (@ebouchi) January 9, 2020

忍び寄るコロナの影

しかし、コロナの影が忍び寄っていたのがちょうどこの頃でもありました。この頃はまさかコロナウイルスがここまで社会的な影響を与える大混乱になるとは全く想像できていませんでした。
ただ世界的に流行しつつあるというニュースは流れていたので、感染拡大は必至なのかなというぼんやりした不安の中で、まぁでもその時はその状況の中でどうするか考えていかなきゃいけないわけだし、あんま考えてもしょうがないだろと思いつつも、いざというときは中止や延期も視野に入れる必要はあるね、という話を運営メンバーでも話していました。

2020年2月 - コロナ禍のはじまり

スクラムフェス札幌へのプロポーザルが次々に集まり、大いに盛り上がりを見せている中で、次々に技術系イベントが中止になっていきました。
イベント自粛の流れが一過性なものなのか、さらにエスカレートするのか、コロナウイルスはどういう傾向をたどっていくのかが全く読めない状況になっていきました。
アジャイル札幌のイベント運営メンバーにもいろいろな意見が出始めてきたのがこの頃だったと思います。
ウイルスに関する不安を増長する報道や、逆に楽観的な情報だったりで先が見えない中で、選択を迫られる状況でした。
1週間単位で報道の内容が変わるような状況だったので、運営委員としては一旦3月15日をチェックポイントに置き、そこでどうするか決めることにしました。

2020年3月 - 延期の決定

結果的に、延期という選択をとることになりました。 その時のメモから、決断した理由は以下

参加者全員の健康への配慮

参加者、登壇者、スポンサー、スタッフを含めた参加者全員と、その家族の健康を優先すべきという結論に至りました。命にかかわる以上、そのリスクに対する不安を上げることはイベントの価値を下げることにも繋がると考えました。

イベントにおけるコロナクラスター発生時の社会的リスク

イベントでコロナを発症し、その事実がマスコミやSNS等により公開された場合、サポートいただいたスポンサーにも悪影響を与えることに繋がると考えました。

本来の目的「ギャザる」が実現できない

上記のような不安を抱える中で、かつ見通しが不透明な中で、本来やろうとしていた人と人が繋がりながら熱気を上げていけるような「ギャザる」体験を実現できる場をつくることが難しいと考えました。

決定してからは、公式サイトの修正、スポンサー・参加者にメール、SNSへの周知、会場の日程変更などを分担して粛々と進めていきました。

2020年6月 - スクラムフェス大阪でできあがったオンラインイベントの一つの形

そんな状況で、Akiさんからスクラムフェス大阪をオンラインで開催するという連絡をいただきました。
コロナ禍でオンサイトでのイベントが次々に中止となる中で、オンライン開催に土壇場でスパッと切り替える勇気と行動力には本当にしびれました。
基調講演で永瀬さんが仰っていた「うっ」となる感覚に、スクラムフェス大阪の運営の皆さんは立ち向かったんだなぁと、誰も予想できないこの状況の中で、初めての試みにチャレンジする姿勢に本当に尊敬しました。

スクラムフェス札幌も後にオンライン開催への変更を余儀なくされたわけですが、オンライン開催がうまくできたのはスクラムフェス大阪での成功があったからこそでした。

2020年9月 - オンライン開催を決定

オンライン開催決定時にやったこと

結果的にオンライン開催となるわけですが、それを決める上でやったことがいくつかありました。

オンラインに使用するツールを決める

ここはスクラムフェス大阪を踏襲して、オンラインイベントの三種の神器

  • Zoom
  • Discord
  • Miro

を使って開催することになりました。

ここでちょっと判断に迷ったのがDiscordでした。

  • スクラムフェス大阪のdiscord内にスクラムフェス札幌のエリアを設けてもらう
  • スクラムフェス札幌のDiscordを新たにつくる

運営委員で議論した結果、後者の「スクラムフェス札幌のDiscordを新たにつくる」に決めました。

スクラムフェス札幌にはRSGTなどのスクラムイベントに慣れていない地元道内の参加者が一定の割合でいるはずで、そういった方のためにチャンネル数や構成をなるべくシンプルに保ちたいというのかその理由でした。

(ここの使用感については、最後にアンケート取るべきだったかなと、今になってちょっと後悔)

登壇者にオンラインでも登壇可能か確認する

オンラインにあたって、まずは基調講演のエバッキーさんと招待講演の島田さんを始め、プロポーザル採択者に、オンライン化でも変わらず引き受けていただけるかどうかを確認する必要がありました。

幸いほとんどの方から快諾をいただくことができました。

スポンサーにオンライン化の承諾をもらう

オンラインとなったことで、当初スポンサーに提出していた趣意書の内容からいくつか変更せざるを得ない部分がありました。まずここについてスポンサーに承諾いただく必要がありました。

  • スポンサーブースをDiscord内のチャンネルブースに変更
  • デジタルデータで企業カタログ配布
  • スポンサーチケット発行枚数を増加

こちらも幸い既に契約済みのスポンサーに関しては、全ての企業様にご快諾いただくことができました。

リアル開催を含めた開催方式の選択

オンライン開催を決定する際にも運営委員内でいろいろ議論しました。

  • リアル開催
  • オンライン開催+リアル開催
  • オンライン開催+運営のみリアル開催
  • オンライン開催のみ

コロナウイルスのリスクが変わらない以上、オンラインでの開催は必須だと考えていて、あとは運営メンバーが無理のない範囲でできる方式、ということで、結果的に「オンライン開催+運営のみリアル開催」という方式を取りました。

この時は、リアル開催とまで行かなくても、運営メンバーで軽く打ち上げに行けるくらいでいいかくらいのノリでした。

スクラムフェス三河オンライン開催

ちょうどこの時期に、スクラムフェス三河がオンライン開催されました。

このときのメインステージが、セッションはオフラインで実施して視聴はオンラインのみというスタイルでした。

そしてびっくりしたのがステージとカメラワークで、これが素晴らしすぎてこれはもうテレビ局クオリティかと。これはプロの所業、ちょっとマネできるものじゃないなと。ただ、すごくインスピレーションを受けた気がします。

スクラムフェス大阪ではオンライン開催にチャレンジをしていて、スクラムフェス三河ではオンライン+リアル開催という試みにチャレンジしている。

札幌でもチャレンジできることって何だろうと、頭を悩ます時期でした。

そんな中で生まれたのがスクラムフェス札幌のちゃぶ台セットだったのかも知れません。

2020年10月 -粛々と準備の時期

ここからは運営スタッフはフル回転な毎日でした。毎週の打ち合わせでは足りず、週2〜3回のZoomミーティングは深夜に及びました。

この時期にやっていたことをざっと洗い出してみます。

  • キャンセル者への返金対応
  • 参加者への案内メール
  • スピーカーへの案内メール
  • プロポーザル落選者への案内メール
  • スポンサーチケット受付対応
  • 参加者からの問い合わせ対応
  • Discord会場の受付開始
  • Discordのチャンネル整備
  • Tシャツ発注
  • 北海道ギフト箱詰め&発送
  • 会場で必要な設備の確認と手配(WiFiなど)
  • リハーサル実施
  • 「みんなでつくる基調講演」プレイベント
  • バーチャル背景作成
  • コーチズクリニック準備
  • OST準備
  • セッション合間の表示画像作成

一回やって終わりなものもあれば非同期で連続で発生するものもあり、なかなか忙しくも密度の高い時間でした。

2020年11月5日 - そしてスクラムフェス札幌開催!!

こんな感じで開催までの道のりを振り返ってみました。 こうしてみるとやっぱり長かったなーと思いますが、紆余屈折が思い出されます。 その時々で運営委員の中でいろいろ考えて、その時にベストと思える判断を繰り返してきました。   その判断が正解だったのかどうかは簡単にはわからないですが、結果的にたくさんの方にポジティブ・フィードバックをいただけたことは本当に励みになりました。 次につなげて良いものにしていきたいと思います。

ちなみにまだ年内は動画公開中です! イベント参加者を含む複数人(会社、コミュニティで鑑賞会など)での視聴はOKです。 まだ見ていないセッションがある方は、まだ間に合いますよ!

来年の開催はまだ未定ですが、とりあえずRSGT2021でお会いしましょう!

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